「もう教員を辞めたい……」
「毎日仕事がつらいけれど、本当に辞めてしまっていいのかな?」
「せっかく教員採用試験に合格したのに、辞めるのはもったいない?」
教員として働いていると、一度はこのように考えることがあるかもしれません。
教員は安定した仕事である一方、授業、生徒指導、学級経営、保護者対応、校務分掌、学校行事など、さまざまな仕事を抱える職業です。
特に若手教員の場合、仕事に慣れていない状態で多くの業務を覚える必要があるため、「もう無理かもしれない」と感じてしまうこともあります。
この記事では、「教員を辞めたい」と思ったときに、本当に辞めるべきなのか、続けるべきなのかを考えていきます。
「教員を辞めたい」と思うのは珍しいことではない
まず知っておきたいのは、「教員を辞めたい」と思ったからといって、自分が弱いわけではないということです。
教員の仕事は、外から見ているよりも多くの業務があります。
- 授業準備
- 教材研究
- テスト作成・採点
- 成績処理
- 学級経営
- 生徒指導
- 保護者対応
- 会議
- 校務分掌
- 学校行事
- 部活動
さらに、学校によっては突発的な対応が発生することもあります。
そのため、「思っていたより忙しい」「自分の時間がない」と感じる人がいても不思議ではありません。
まず考えたい「なぜ教員を辞めたいのか」
「辞めたい」という気持ちが出てきたら、最初にやってほしいのが、辞めたい理由を具体的にすることです。
例えば、次のような理由が考えられます。
- 仕事量が多い
- 残業が多い
- 授業が大変
- 学級経営がうまくいかない
- 生徒指導がつらい
- 保護者対応が怖い
- 職員室の人間関係がつらい
- 管理職との関係が合わない
- 部活動が負担
- 休日も仕事のことを考えてしまう
- 教員という仕事そのものが合わない
- 別にやりたい仕事がある
ここで重要なのは、「何が嫌なのか」によって、必要な対処が変わるということです。
「今の学校が嫌」なのか「教員が嫌」なのか
教員を辞めるかどうかを考えるとき、特に重要なのがこの違いです。
今の学校が嫌
人間関係や学校の雰囲気、管理職などが原因なら、異動によって状況が変わる可能性があります。
教員という仕事が嫌
授業、生徒指導、保護者対応など、教員という仕事そのものに強い違和感があるなら、転職を検討する理由になります。
仕事に慣れていなくてつらい
経験を積むことで仕事の進め方が分かり、負担が軽くなる可能性もあります。
「教員を辞めたい」と思ったときは、この3つを一度分けて考えてみましょう。
教員を続けるメリットも考えてみる
辞めたい気持ちが強いときほど、教員を続けるメリットは見えにくくなります。
一度冷静に、続ける場合のメリットも考えてみましょう。
安定した収入を得られる
公立学校の教員は地方公務員として勤務するため、給与や勤務条件などは条例等に基づいて定められています。県費負担教職員についても、給与や勤務条件は都道府県の条例で定められています。
そのため、転職を考える際には、現在の給与だけでなく、賞与、休暇、福利厚生、退職金なども含めて比較する必要があります。
教員としての経験を積める
教員として経験を積むことで、授業力や学級経営、生徒対応などのスキルを身につけることができます。
また、教育公務員特例法では、公立学校の教員に対する初任者研修についても規定されています。
1年目や2年目は大変でも、経験を積むことで仕事の進め方が分かってくるケースもあります。
一方で、教員を辞めるメリットもある
自分に合った仕事を探せる
実際に教員として働いてみて、「自分には向いていない」と分かったのであれば、別の仕事を探すこともできます。
20代や30代など、比較的若いうちにキャリアチェンジすることで、その後の仕事の経験を長く積めるという考え方もあります。
働き方を変えられる
教員以外の仕事に転職すれば、勤務時間、仕事内容、勤務地、人間関係などが変わります。
もちろん、転職先が必ずしも働きやすいとは限りません。
しかし、「今の働き方を変えたい」という場合には、転職は一つの選択肢になります。
新しいことに挑戦できる
教員として働く中で、「本当は別の仕事をやってみたい」と思うようになった人もいるでしょう。
20代であれば、これからのキャリアについて方向転換することも十分に可能です。
こんな場合は「辞める」ことを真剣に考えてもいい
次のような状態であれば、退職や転職について具体的に考えてみてもよいでしょう。
- 教員という仕事自体に強い違和感がある
- 何年続けても教員を続けたいと思えない
- 別にやりたい仕事が明確にある
- 現在の働き方を長期間続けるイメージが持てない
- 仕事による負担が大きく、生活に深刻な影響が出ている
- 転職先について具体的に調べている
特に、仕事によって心身の状態に大きな影響が出ている場合は、「まだ若いから」「せっかく教員になったから」と無理を続けることだけを選択肢にする必要はありません。
逆に、もう少し続けてみてもいいケース
一方で、「教員そのものは嫌いではない」という場合は、すぐに退職を決めない方法もあります。
例えば、
- 初任者で仕事に慣れていない
- 特定の学年だけが大変
- 特定の同僚との関係がつらい
- 今の学校の環境が合わない
- 繁忙期だけ特に忙しい
- 授業がうまくいかないことが悩み
という場合です。
このようなケースでは、経験を積んだり、異動したりすることで状況が変わる可能性があります。
「あと1年だけ頑張る」という選択もある
退職するか迷っているなら、「一生教員を続けるか」「今すぐ辞めるか」の二択にする必要はありません。
例えば、
「あと半年だけ働きながら考える」
「1年間だけ経験してから判断する」
という方法もあります。
その間に転職先を調べたり、自分がどんな仕事をしたいのか考えたりすることができます。
ただし、心身の負担が大きい場合は、無理に「1年間頑張る」必要はありません。
教員を辞める前にやっておきたいこと
①転職先を調べる
「教員を辞めたい」と思ったら、まず求人を見るだけでも構いません。
実際に求人を見てみると、給与、休日、勤務時間、仕事内容などを比較できます。
「教員以外にはどんな仕事があるのか」を知るだけでも、気持ちが整理されることがあります。
②退職後の生活費を考える
転職先が決まる前に退職する場合は、生活費について考えておきましょう。
家賃、食費、光熱費、通信費、税金など、毎月必要になる金額を計算しておくと安心です。
③家族や信頼できる人に相談する
退職は大きな決断なので、一人だけで抱え込まないことも大切です。
家族や友人、信頼できる同僚などに相談してみると、自分では気づかなかった考え方が見えてくることがあります。
④勤務先の退職手続きを確認する
公立学校の教員の場合、地方公務員としての身分を持つため、具体的な勤務条件や手続きは自治体の条例等によって定められています。
そのため、退職を決めた場合は、勤務先の規定や教育委員会などの担当部署に必要な手続きを確認しましょう。
教員を辞めたら、これまでの経験は無駄になる?
「教員を辞めたら、今までの経験が全部無駄になるのでは?」と心配する人もいるでしょう。
しかし、教員として身につけた能力の中には、他の仕事でも活かせるものがあります。
- 人前で話す力
- 説明する力
- 文章作成能力
- スケジュール管理
- 人との調整能力
- 問題解決能力
- 複数の業務を同時に進める力
教員を辞めたからといって、これまで積み重ねてきた経験がゼロになるわけではありません。
「辞めたい」は、今の働き方を見直すサインかもしれない
「教員を辞めたい」と思ったとき、必ずしもすぐに退職する必要はありません。
しかし、その気持ちを無視して働き続ける必要もありません。
「なぜ辞めたいのか?」
「何が変われば続けられるのか?」
「本当はどんな仕事をしたいのか?」
この3つを考えるだけでも、自分の気持ちがかなり整理されます。
迷ったときは、この順番で考えてみましょう。
- 辞めたい理由を書き出す
- 「今の学校」が嫌なのか「教員」が嫌なのか考える
- 続けた場合のメリットを考える
- 辞めた場合のメリット・デメリットを考える
- 転職先を調べる
- それでも辞めたいなら退職を具体的に考える
まとめ|教員を辞めるかどうかは「これから」で考えよう
教員を辞めたいと思ったとき、一番避けたいのは、周囲の「もったいない」という言葉だけで判断してしまうことです。
もちろん、教員には安定性や待遇などのメリットがあります。
しかし、仕事を続けることで自分がどうなりたいのかを考えることも同じくらい大切です。
「教員を辞める=失敗」ではありません。
教員を続けることも、異動することも、別の仕事へ転職することも、それぞれ一つの選択肢です。
もし今「もう辞めたい」と感じているのであれば、まずは「自分は何がつらいのか」を整理してみてください。
そして、辞めた後の仕事や生活について調べてみましょう。
そこで改めて「やっぱり教員を続けたい」と思うのであれば、続ければいいのです。
反対に「やっぱり別の仕事に挑戦したい」と思うのであれば、転職に向けて準備を始めてもいいでしょう。
大切なのは、「教員を続けるべきか」ではなく、「これから自分がどんな働き方をしたいのか」を考えることです。
※公立・国立・私立などの設置者や任用形態によって、退職に関する手続きや勤務条件は異なります。実際に退職を検討する場合は、勤務先の規定や担当部署に最新の情報をご確認ください。
