「教員って毎日何時まで働いているの?」
「教員は残業代が出ないって本当?」
「学校の先生はブラックって聞くけど、実際の残業時間はどのくらい?」
これから教員を目指している人や、教員採用試験を受験しようとしている人にとって、勤務時間や残業は非常に気になるポイントです。
教員の仕事は授業だけではありません。授業準備、成績処理、保護者対応、学校行事、会議、部活動など、さまざまな業務があります。
さらに、公立学校の教員には一般的な会社員とは異なる給与制度が設けられており、原則として時間外勤務手当や休日勤務手当が支給されないという大きな特徴があります。
この記事では、教員の残業について、残業時間、残業代、給特法、現在の制度改正まで分かりやすく解説します。
この記事で分かること
- 教員の残業はどのくらいあるのか
- 教員に残業代が出ない理由
- 「給特法」とは何なのか
- 教職調整額とは何なのか
- 教員の残業時間を減らす取り組み
- 2026年現在の教員給与制度の変更
- 教員を目指す人が知っておきたいこと
教員は残業が多い?
結論からいうと、教員の仕事には勤務時間外に行われる業務が少なくありません。
学校の始業時間より前に出勤して授業準備をしたり、放課後に会議や生徒指導、部活動などを行ったりする教員もいます。
さらに、児童・生徒が帰宅した後に、次の日の授業準備やテストの採点、成績処理、書類作成などを行うこともあります。
そのため、学校の勤務時間が8時30分から17時00分だったとしても、実際には17時00分を過ぎてから仕事をするケースがあります。
教員の残業にはどんな仕事がある?
教員が勤務時間外に行うことのある仕事には、さまざまなものがあります。
- 授業準備
- 教材研究
- テスト作成
- テストの採点
- 成績処理
- 通知表の作成
- 保護者への連絡
- 児童・生徒への生徒指導
- 職員会議
- 校務分掌
- 学校行事の準備
- 部活動
- 各種書類の作成
- アンケートや調査への対応
- 研修
特に、授業が終わった後の時間には、さまざまな業務が集中しやすくなります。
教員は残業代が出ないって本当?
公立学校の教員については、一般的な会社員とは異なる給与制度が採用されています。
現在の給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)では、対象となる教育職員について、原則として時間外勤務手当や休日勤務手当を支給しない仕組みになっています。
つまり、会社員のように、
「残業を1時間したから、その1時間分の残業代が支給される」
という仕組みではありません。
これが「教員には残業代が出ない」と言われる大きな理由です。
なぜ教員には残業代が出ないの?
その理由を理解するためには、給特法について知る必要があります。
給特法は、1971年に制定された法律で、公立学校の教員の勤務や給与について特別な扱いを定めています。
教員の仕事には、授業だけでなく、学校行事、児童・生徒への対応、授業準備など、時間を明確に区切ることが難しい業務があるという考え方が背景にあります。
そこで、一般の地方公務員とは異なる給与制度が設けられました。
教職調整額とは?
教員の給与について調べていると、「教職調整額」という言葉が出てきます。
教職調整額とは、公立学校の教育職員に対して支給される給与上の特別な調整額です。
2025年の給特法改正により、この教職調整額は従来の4%から段階的に10%へ引き上げられることになりました。
2026年度から引き上げが始まり、最終的には2030年度(令和12年度)までに10%となる予定です。
2026年現在のポイント
教職調整額は、従来の4%から段階的に引き上げられています。
最終的に2030年度までに10%となる予定です。
教職調整額があるなら、残業代は不要なの?
ここは教員の残業問題を理解するうえで非常に重要なポイントです。
教職調整額は、一般企業の「残業代」と同じものではありません。
教員の場合は、時間外勤務をした時間数に応じて残業代を計算するのではなく、給料月額を基準として一定割合の教職調整額を支給する仕組みになっています。
そのため、例えば長時間勤務をしたからといって、単純に「残業時間×時給」で給与が増えるわけではありません。
この仕組みについては、教員の働き方を考えるうえで重要なポイントです。
教員の残業時間は「時間外在校等時間」で考える
教員の勤務時間について調べると、「時間外在校等時間」という言葉を目にすることがあります。
これは、学校にいる時間のうち、正規の勤務時間を超えて在校している時間などを把握するために用いられている指標です。
ただし、「時間外在校等時間=そのまま残業時間」と考える際には注意が必要です。
教員の勤務実態を把握するためには、持ち帰り仕事なども含め、実際にどのような業務をどのくらい行っているのかを見る必要があります。
教員の残業が多くなりやすい時期
教員の仕事は、年間を通して同じ忙しさというわけではありません。
特に忙しくなりやすい時期があります。
4月~5月
新年度は、学級開きや授業準備、校務分掌、学校行事などが重なるため、非常に忙しくなりやすい時期です。
学期末
成績処理、通知表、面談などの業務が集中します。
学校行事の前後
運動会、文化祭、体育祭、修学旅行などの前後は、通常の授業に加えて準備や事後処理が必要になります。
年度末
成績処理、引き継ぎ、書類作成、次年度の準備などが重なります。
部活動は教員の残業に関係する?
中学校や高校などでは、部活動が勤務時間外の負担につながるケースがあります。
放課後の部活動だけでなく、大会や練習試合、休日の活動などがある場合には、教員の勤務時間が長くなることがあります。
そのため、学校における働き方改革では、部活動の地域移行・地域連携なども重要なテーマになっています。
教員の残業を減らすための取り組み
教員の長時間勤務が問題となる中、国や教育委員会では学校の働き方改革が進められています。
文部科学省も、教育委員会に対して教員の業務量を適切に管理し、健康や福祉を確保するための取り組みを進めています。
具体的には、次のような取り組みがあります。
- 学校・教員が担う業務の見直し
- ICTの活用
- 外部人材の活用
- 部活動の地域移行・地域連携
- 学校事務の効率化
- 会議や研修の見直し
- 教職員の勤務時間の把握
2026年から教員の給与制度が変わった
2026年現在、教員の残業問題を考えるうえで重要なのが、2025年に成立した給特法等の改正です。
今回の改正では、教職調整額を4%から2030年度までに10%へ段階的に引き上げることが決まりました。
また、単純に給与を上げるだけではなく、学校における働き方改革を進めるため、教育委員会による業務量管理や健康確保措置なども制度化されています。
つまり、現在は「教員の給与を改善すること」と「長時間勤務を減らすこと」の両方が進められている状況です。
教員を目指すなら残業についても知っておこう
教員採用試験を受験する場合、給与や倍率だけを調べるのではなく、実際の勤務時間についても確認しておくことをおすすめします。
特に確認しておきたいのは、次のようなポイントです。
- 勤務開始・終了時刻
- 時間外在校等時間
- 部活動の負担
- 土日の勤務
- 学校行事の多さ
- 校務分掌
- ICTや業務効率化の状況
- 教員数
- 休暇の取得状況
同じ「教員」という仕事でも、自治体、学校種、学校規模、担当学年、校務分掌などによって忙しさは大きく異なる場合があります。
教員の残業についてよくある質問
Q. 教員には残業代がまったく出ないのですか?
公立学校の教育職員については、給特法により、原則として時間外勤務手当・休日勤務手当は支給されません。代わりに教職調整額という仕組みがあります。
Q. 教職調整額は残業代ですか?
一般的な会社員の残業代とは異なります。時間外勤務の時間数に応じて支給されるものではなく、給料月額を基準に一定割合で支給される制度です。
Q. 教員は毎日残業していますか?
すべての教員が毎日長時間残業しているわけではありません。ただし、授業準備、成績処理、保護者対応、会議、学校行事、部活動などによって勤務時間が長くなる教員もいます。
Q. 私立学校の教員も残業代が出ないのですか?
公立学校と私立学校では雇用関係や給与制度が異なります。私立学校の教員については、学校法人の就業規則や労働契約、労働基準法などに基づいて扱われるため、公立学校の教員と同じ仕組みではありません。
Q. 2026年から教員の残業代が出るようになったのですか?
いいえ。2026年から一般企業と同じような時間外勤務手当が支給される制度になったわけではありません。給特法の改正により、教職調整額が段階的に引き上げられる制度となっています。
まとめ:教員の残業問題は「時間」と「給与」の両方から考える必要がある
教員の残業について考えるときは、「何時間働いているのか」だけでなく、「その時間に対してどのような給与制度が適用されているのか」を理解することが重要です。
公立学校の教員には、一般的な会社員とは異なる給特法が適用されており、原則として時間外勤務手当や休日勤務手当は支給されません。
その代わりに教職調整額が支給されており、2026年度からは従来の4%から段階的に引き上げられ、2030年度までに10%となる予定です。
一方で、教員の長時間勤務そのものを減らすことも重要な課題となっています。
これから教員を目指す人は、「年収はいくらか」だけではなく、「実際にどのくらい働くのか」「どのような仕事が勤務時間外に発生するのか」まで調べたうえで、教員という仕事を考えてみるとよいでしょう。
この記事の要点
- 教員は授業以外にも多くの業務を行っている
- 公立学校の教員には一般的な残業代とは異なる給与制度がある
- 給特法により時間外勤務手当・休日勤務手当は原則として支給されない
- 教職調整額は2026年度から段階的に引き上げられている
- 最終的に2030年度までに10%となる予定
- 現在は給与改善と同時に学校の働き方改革も進められている
参考資料
- 文部科学省「教師の処遇改善」
- 文部科学省「教師を取り巻く環境整備について」
- e-Gov法令検索「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」
注意
本記事は公立学校の教員を中心に解説しています。実際の勤務時間、給与、手当、学校における業務内容などは、自治体や学校、職種によって異なる場合があります。また、制度改正等により内容が変更される可能性があります。最新情報については文部科学省、各自治体、教育委員会などの公式情報をご確認ください。