東京都の中学校美術の教員採用試験を受験する人にとって、
「実技試験では何が出るの?」
「どんなモチーフを練習しておけばいい?」
「瓶や缶は本当に出やすい?」
という疑問は非常に気になるところではないでしょうか。
美術の実技試験は、一般的な筆記試験とは違い、毎年どのようなモチーフが出題されるのかを事前に完全に予想することはできません。
しかし、過去の出題例を調べてみると、ある程度の傾向が見えてきます。
この記事では、東京都教育委員会が公表している資料に加えて、過去の受験者の体験談なども調査し、東京都の美術実技試験で確認できた過去のモチーフをできるだけ年度別に整理しました。
まず結論!東京都の美術実技で出やすいモチーフは?
過去の出題例をまとめると、東京都の美術実技では次のようなものが登場しています。
- 紙・布などの柔らかい素材
- クリップ・ブックエンドなどの事務用品
- 箱
- 缶
- 瓶
- チューブ
- カップ
- ボール
- 電球
- 紐
- 紙風船
- 手ぬぐい
- 羽
- 色画用紙
特に注目したいのが、
「身近な日用品」+「形や質感を表現しにくいもの」
という組み合わせです。
ただし、「このモチーフが必ず出る」という意味ではありません。
過去の出題傾向から考えられる対策として捉えてください。
東京都・美術実技の過去モチーフ一覧
まず、現在ネット上で確認できた情報を年度別に整理します。
| 実施年度 | 実技内容 | 確認できたモチーフ | 情報源 |
|---|---|---|---|
| 令和7年度(2025年実施) | 鉛筆による素描・120分 | Wクリップ(特大)、Wクリップ(小)、目玉クリップ(大) | 東京都公式 |
| 令和6年度(2024年実施) | 鉛筆による素描・120分 | 布 | 東京都公式 |
| 令和5年度(2023年実施) | 鉛筆による素描・120分 | 平紐 | 東京都公式 |
| 令和4年度(2022年実施) | 色鉛筆による静物画・150分 | ビニールチューブ、カラーボール、計量カップ、箱 | 東京都公式 |
| 令和3年度(2021年実施) | 色鉛筆による静物画・150分 | おたま、クリアカップ、紙風船、手ぬぐい | 東京都公式 |
| 平成21年頃(2009年実施) | 色鉛筆による静物画・150分程度 | ハンガー、電球、紙製手提げ袋、ふた付き缶、羽、色画用紙、ラシャ紙、紙テープ | 受験者体験談 |
| 平成20年頃(2008年実施) | 色鉛筆による静物画・150分程度 | スチール製ブックエンド、ビニールチューブ、ボックスティッシュ、ペリエ瓶、紙風船、B4用紙2種 | 受験者体験談 |
※年度については資料の表記・体験談の記載をもとに整理しています。古い年度については公式資料ではなく受験者・第三者による情報です。
令和7年度:Wクリップ3種類
近年の東京都美術実技で非常に特徴的だったのが、令和7年度です。
東京都公式資料によると、実技は鉛筆による素描、試験時間120分。
モチーフは、
- Wクリップ(特大)1個
- Wクリップ(小)1個
- 目玉クリップ(大)1個
の計3個でした。
評価の観点は「正確な描写」と「鉛筆を生かした表現の技能等」です。
これは非常に重要な例です。
なぜなら、それまでの「色鉛筆による静物画」と比べて、かなりシンプルなモチーフになっているからです。
クリップは小さいながら、
- 金属の質感
- 光沢
- 厚み
- 曲線
- 穴
- 重なり
- 遠近感
などを表現する必要があります。
つまり、単純なモチーフに見えて、実は観察力が問われるモチーフだと考えられます。
令和6年度:布
令和6年度は、さらに特徴的です。
東京都公式資料によると、実技は鉛筆による素描・120分。
モチーフは、
「布」
でした。
布は一見すると簡単そうですが、実際には非常に難しいモチーフです。
- シワ
- 柔らかさ
- 重なり
- 光と影
- 厚み
- 布目
- 垂れ方
などを表現する必要があります。
特に「硬い物体」と違って、布には決まった輪郭がありません。
そのため、明暗によって立体感を作る力が重要になります。
令和5年度:平紐
令和5年度も、非常にシンプルなモチーフでした。
東京都公式資料によると、実技は鉛筆による素描・120分。
モチーフは、
「平紐」
です。
平紐も、
「こんなものを描くの?」
と思う人がいるかもしれません。
しかし、平紐には、
- 曲げる
- 重ねる
- ねじる
- 垂らす
など、さまざまな構成ができます。
また、細長い形状なので、形の狂いが目立ちやすいモチーフでもあります。
令和4年度:ビニールチューブ・カラーボール・計量カップ・箱
令和4年度は、それまでとは少し違い、複数のモチーフが用意されました。
東京都公式資料によると、
- ビニールチューブ
- カラーボール
- 計量カップ
- 箱
の4種類です。
試験時間は150分。
そして、色鉛筆による静物画でした。
この組み合わせを見ると、
- 曲線
- 球体
- 透明感
- 箱の直線
- 異なる素材
を一度に描く必要があります。
つまり、かなり幅広い描写力が求められる組み合わせです。
令和3年度:おたま・クリアカップ・紙風船・手ぬぐい
令和3年度も色鉛筆による静物画でした。
モチーフは、
- おたま
- クリアカップ
- 紙風船
- 手ぬぐい
です。
試験時間は150分。
この組み合わせも非常に興味深いものです。
おたま → 金属
クリアカップ → 透明素材
紙風船 → 紙・球体
手ぬぐい → 布
というように、素材の異なるものが組み合わされています。
平成21年頃:ハンガー・電球・缶・羽など
古い受験者の体験談まで調べると、さらに興味深いモチーフが見つかります。
平成21年実施の試験として紹介されているモチーフは、
- ハンガー
- 電球(60W)
- 紙製の手提げ袋
- ふた付き缶
- 羽
- みかん色の色画用紙(B4)
- ひわ色のラシャ紙(B4)
- 紙テープ
です。
この体験談では、受験者自身がモチーフを机の上に構成して描いたとされています。
また、紙は破ったり折ったりしてよい一方、手提げ袋については破らないよう指示されたとのことです。
試験時間は2時間半だったと記されています。
平成20年頃:ブックエンド・チューブ・ティッシュ・瓶・紙風船
さらに前年頃の例として、
- 青いスチール製ブックエンド
- 黄緑色の針金を巻き付けたビニールチューブ
- 白いボックスティッシュ
- ペリエの瓶
- 紙風船
- B4サイズの紙2種類
というモチーフも確認できました。
この内容は、受験者の体験談を掲載したブログだけでなく、当時のmixi上の受験情報にも同様の内容が残っています。mixiの投稿では、色鉛筆・鉛筆を使い、紙を切ったり破ったり折ったりして自由に加工できること、試験時間が2時間半だったことなども紹介されています。
こうして見ると「出やすいモチーフ」が見えてくる
ここまでの過去例を並べてみると、かなり面白い傾向があります。
① 紙・布などの柔らかい素材
確認できたものだけでも、
- 紙袋
- 色画用紙
- ラシャ紙
- 紙テープ
- 紙風船
- 手ぬぐい
- 布
- 平紐
などがあります。
東京都の実技では、柔らかい素材を描く力が比較的重視されていることが分かります。
② 金属・硬い素材
金属系のモチーフも多く見られます。
例えば、
- Wクリップ
- 目玉クリップ
- ブックエンド
- ハンガー
- 缶
- 電球
- おたま
などです。
金属は、
「形」+「光沢」+「明暗」
を同時に表現しなければならないため、デッサンの基礎を見るには適したモチーフです。
③ 透明なもの
過去には、
- クリアカップ
- ペリエの瓶
なども登場しています。
透明な素材は、
「輪郭を描けば終わり」
というわけにはいきません。
背景が透けたり、光が反射したりするため、かなり難しいモチーフです。
そのため、ガラスや透明プラスチックを練習しておく価値は高いでしょう。
④ 円柱・球体・箱などの基本形
過去のモチーフには、
- カラーボール
- 箱
- 缶
- 電球
- 瓶
- チューブ
などがあります。
これらは、
球体・円柱・直方体
といった基本形に置き換えて考えることができます。
つまり、普段のデッサン練習で、
「円柱が苦手」
「球体が苦手」
「箱のパースが苦手」
という人は、実技対策として重点的に練習しておくべきでしょう。
⑤ 「小さいけれど難しいもの」も出ている
令和7年度のクリップは、その代表例です。
クリップそのものは小さな事務用品ですが、
- 金属の反射
- 曲線
- 穴
- 厚み
- 重なり
などを正確に描く必要があります。
つまり、
「大きくて複雑なモチーフ=難しい」
とは限りません。
むしろ、小さくて単純に見えるモチーフでも、正確に描こうとすると難しいものがあります。
東京都の美術実技は「描きにくいもの」が選ばれている?
過去のモチーフを見る限り、
「これは簡単に描けそう!」
というものばかりではありません。
例えば、
- 透明なカップ
- ガラス瓶
- 金属
- クリップ
- 布
- 平紐
- ビニールチューブ
- 電球
などは、それぞれ異なる難しさがあります。
そのため、
「受験生の観察力や描写力を確認しやすいもの」
が選ばれている可能性はあります。
ただし、東京都教育委員会が「このような理由でモチーフを選んでいる」と公式に説明しているわけではありません。
あくまで過去の出題例から考えられる傾向です。
近年は試験内容そのものが変化している
ここは受験生にとって非常に重要です。
過去の東京都の美術実技では、色鉛筆による静物画が中心だった時期があります。
例えば、
令和3年度
色鉛筆による静物画・150分
- おたま
- クリアカップ
- 紙風船
- 手ぬぐい
令和4年度
色鉛筆による静物画・150分
- ビニールチューブ
- カラーボール
- 計量カップ
- 箱
でした。
ところが、
令和5年度
鉛筆による素描・120分
- 平紐
令和6年度
鉛筆による素描・120分
- 布
令和7年度
鉛筆による素描・120分
- Wクリップ3個
へと変わっています。
つまり、
「昔の東京都=色鉛筆による複数モチーフの静物画」
というイメージだけで対策するのは危険です。
現在は、よりシンプルなモチーフを鉛筆で正確に描く形式が続いています。
では、どんなモチーフを練習すればいい?
過去の出題例から考えると、次のようなモチーフを練習しておくとよいでしょう。
【優先度★★★★★】金属
- クリップ
- 缶
- スプーン
- フォーク
- ハンガー
- ブックエンド
特にクリップ類はおすすめです。
小さいながらも、形・厚み・光沢を練習できます。
【優先度★★★★★】布・紐
- タオル
- 手ぬぐい
- 布
- 平紐
- リボン
- 毛糸
- 紙テープ
布や紐は、形を線だけで表現しようとせず、明暗によって立体感を作る練習をしましょう。
【優先度★★★★☆】透明素材
- ガラス瓶
- 透明カップ
- ペットボトル
- 透明プラスチック容器
東京都の過去例でもクリアカップや瓶が確認されています。
【優先度★★★★☆】円柱
- 缶
- コップ
- 瓶
- チューブ
- 筒
円柱は楕円の形が少し崩れるだけでも違和感が出ます。
特に、
「上の楕円」と「下の楕円」を正確に描く練習
をしておくとよいでしょう。
【優先度★★★★☆】球体
- ボール
- 紙風船
- 電球
球体は、
「輪郭」よりも「明暗」
を意識することが重要です。
過去モチーフから考える「東京都美術実技対策リスト」
最後に、練習しておきたいモチーフをまとめます。
| 分類 | 練習モチーフ |
|---|---|
| 金属 | クリップ、缶、スプーン、フォーク、ハンガー |
| 布 | タオル、手ぬぐい、布 |
| 紐 | 平紐、リボン、毛糸、紙テープ |
| 紙 | 紙袋、箱、紙風船、ティッシュ箱 |
| ガラス | ガラス瓶、コップ |
| 透明素材 | クリアカップ、ペットボトル |
| 円柱 | 缶、瓶、チューブ、コップ |
| 球体 | ボール、紙風船、電球 |
| 事務用品 | クリップ、ブックエンド |
| 日用品 | おたま、電球、ハンガー |
令和8年度の実技については?
令和8年度東京都公立学校教員採用候補者選考では、美術を含む対象教科の実技試験が2026年8月23日に実施されました。
ただし、2026年8月31日時点では、東京都の公式サイトで公開されている「過去の試験問題」は令和8年度・令和7年度の第一次選考問題等が中心で、令和8年度実技の具体的なモチーフについては、公式資料としてまだ確認できませんでした。東京都は過去問題について、オンラインでは直近2年度分を掲載し、それ以前の問題は都庁第一本庁舎3階の都民情報ルームで閲覧・コピーできると案内しています。
そのため、令和8年度のモチーフについては、今後東京都の資料や受験者の体験談が出てくる可能性があります。
まとめ|東京都の美術実技は「何が出るか」より「何でも描ける力」が重要
東京都の中学校美術の実技試験について過去のモチーフを調べてみると、
- クリップ
- 布
- 平紐
- チューブ
- カラーボール
- 計量カップ
- 箱
- おたま
- クリアカップ
- 紙風船
- 手ぬぐい
- ハンガー
- 電球
- 缶
- 瓶
- ブックエンド
など、かなり幅広いモチーフが出題されていることが分かりました。
一方で、共通しているのは、
「身近なもの」
「形や質感を観察しやすいもの」
「描写力の差が出やすいもの」
が多いという点です。
そして、近年は実技の形式そのものも変化しています。
令和3・4年度は色鉛筆による静物画でしたが、令和5~7年度は鉛筆による素描となり、モチーフも複数から単体・少数へと変化しています。
そのため、
「過去に出たモチーフを丸暗記する」
のではなく、
「金属」「布」「紙」「透明素材」「円柱」「球体」「箱」など、さまざまな素材・形を描けるようにする」
ことが、実技試験対策として最も重要です。
東京都の美術実技を受験するなら、まずは家にある身近なものを使って、時間を測りながら描いてみましょう。
特に、
クリップ・布・紐・缶・瓶・箱・チューブ・透明カップ
あたりは、過去の出題例とも関連が深く、練習しておいて損のないモチーフです。
【参考】東京都が公開している過去問題
東京都教育委員会は、現在、直近2年度分の教員採用選考の問題・正答・配点等を公式サイトで公開しています。
また、過去の問題については、都庁第一本庁舎3階の都民情報ルームで閲覧・コピーできます。
過去の体験談については、平成21年頃の東京都小中美術実技について具体的なモチーフを掲載した受験者ブログも確認できます。
※この記事で紹介した平成20~21年頃の情報は、東京都教育委員会の公式資料ではなく、受験者・第三者が公開した体験談です。年度や内容について誤記が含まれている可能性もあるため、参考資料としてご利用ください。
